その法則はとてもシンプルです。
ケトジェニックダイエットによる脂肪利用量>グルコダイエットによる脂肪蓄積量となればよいのです。
「燃焼モードの食事」で使用した脂肪量が「蓄えるモードの食事」で蓄えた脂肪量より多ければ問題なく痩せていきます。
私の場合、かなりの過体重でしたから、空腹感をうまないような量を食べていました。 ただ以下を守っていました。
夜:肉卵チーズを中心にしっかり食べる。
朝:ココナッツオイルコーヒー(もしくはバターコーヒー)
*ビタミンミネラルサプリ
昼:食べたり食べなかったり。魚に小さな茶碗一杯分のごはんがあるとき
あり。ラーメンのときもあり(笑)
一般的なひとで、夕食を19時、朝食を7時、昼を12時とすると、
ほぼ糖質量がゼロな夕食をとってから、睡眠をとり、お昼を食べるまではケトジェニックダイエットとなり、脂肪を燃焼していきます。お昼は若干糖質がある食事とっても問題はないと思います。
こんなリズムで最初の2か月で20kgがすとんと落ちました。
その後半年くらいかけてゆっくりと10kg落ちました。(それでも80kgですが(笑))
しかしながら、その後、体重はほとんど減らなくなりました。
夏場の仕事のピークがつづいたストレスからか、体重は少しリバウンドしてしまいました。
いろいろ調べた結果、それは食事の質ではなく「代謝不足」が問題だとわかりました。
代謝があがれば、食事の量は同じでも、使うエネルギーの量が増えます。
適度なウォーキングも効果がありますが、もっともいいのは筋トレです。
筋トレもボディビルダーがおこなうような細かいことはしなくても大丈夫です。
大きな筋肉、すなわち、大胸筋、大腿筋肉、腹直筋に焦点をあてて筋トレしていきます。
プッシュアップ、スクワット、ダブルクランチ これらを毎日30回ずつ。
そして定期的にダンベルフライ、ダンベルリフト、ヒップレイズを30回ずつ。
詳しいやり方は吉川メソッドを参考にしてください。
これらをケトジェニックダイエットに加えて行うだけで、きれいな筋肉がついていきます。
胸や腹の脂肪は筋肉に置き換わっていくのがわかるはずです。
ただし筋肉のほうが重量が重いため、一時的に体重増加となるかもしれません。
いずれのダイエットで過体重を克服したとしても、健康でなければ意味がありません。
健康を維持するためには、第一に必要な栄養素をきちんと食事から摂取することが大切です。
第二に過度に血糖値の乱高下を起こさないことが大切です。
この二つの要件を満たすのはケトジェニックダイエットが最もふさわしいといえます。
栄養素が満たされると、代謝を活発にして、古い細胞を新しい細胞に置き換えてくれます。
脂肪はどんどん燃焼されます。
活力が湧き、健康でいられます。 栄養満点ですから、免疫力もばっちりです。
グルコダイエットによる糖質過剰は、高血糖状態により血管を傷つけます。
また体内の組織の糖化をもたらします。
免疫力の低下や血糖値の乱降下は、様々な病気を招きます。
こうした状況がつづけば、糖尿病をはじめとする生活習慣病を患ってしまう
リスクが各段に高くなるのです。
私たちが肥満をさけ、健康に生きていくのに最も重要なのは「食事」であるとお分かりいただけたでしょうか。
ただ、この「食事」だけでは、なんともしがたい最大の敵がいます。
それが「ストレス」と「睡眠不足」です。
だれもが健康的に生きていくうえで「ストレス」と「睡眠」はとても大切だと感じています。
ストレスにも心理的なもの肉体的なものとありますが、ストレスを感じると交感神経が刺激されます。
副腎からコルチゾールやアドレナリンといったホルモンが分泌され、血糖値をあげ、ストレスに対応しようとします。
現代社会のようにストレスが多い社会では、そうしたホルモンが常に分泌され続けることになります。
また睡眠についても、ストレスからの不眠症が増えています。
また夜型の生活習慣のため睡眠不足になるひとも増えています。
人間が本来休息するべき夜に休息しないと、いわゆる概日リズム(サーカディアンリズム)がくずれ、ホルモンバランスが崩れます。
人間のからだは睡眠中に成長ホルモンを分泌し、
肉体的な成長や細胞の修復、免疫機能を促進しています。
睡眠が不足していると成長ホルモンの代わりに、コルチゾールが過剰に生産され、血糖値が高い状態が続いてしまいます。
こうした状態が続くと免疫が弱まり、成長が阻害されてしまいます。
また副腎からのコルチゾールやアドレナリンが過剰に分泌される状態がつづくと、やがて副腎が疲弊し、副腎疲労といった症状を引き起こします。
ストレス過剰な状態、睡眠不足は、栄養が足りているか足りてないかの脳の判断を鈍らせます。
睡眠中の身体ではレプチンというホルモン濃度が上がり、グレリンというホルモンの値が下がります。
レプチンは食欲を抑制し、グレリンは食欲を増進させる役割があります。
グレリンというホルモンの値があがると、食欲が旺盛になってしまいます。
とくに炭水化物を欲すようになります。これは抗しがたい人間の生理現象なのです。
そしてそれは、肥満へとつながり、糖尿病をはじめとする生活習慣病へのつながっていくのです。
こうした状況は「燃焼するモード」が過剰になっているとも表現できます。ただし、それは食事によるものでなく、ストレスフルな仕事環境&人間関係、昼夜逆転の生活によって、交感神経が過剰に反応したことによりもたらされるものです。 もちろん、「蓄えるモードの食事」の場合でも同じことが起きます。
いずれのダイエットにおいても、ストレスや睡眠不足が、それらのホメオスタシスを維持できないように、ホルモンバランスを崩し、生活習慣病の引き金となってしまうのです。
精神的な悩みをいつもかかえ、くよくよしたり、眠れなかったりする原因が、
栄養不足にあるとおもう方は少ないと思います。
精神的な悩みについては、
・セロトニン
・ドーパミン
・アドレナリン
といった神経伝達物質がきちんと分泌され、きちんと働く必要があるのです。
セロトニンが不足すると、夜いつまでもいろんな事を考え眠れないといった状態になります。
ドーパミンが不足すると、やる気がなくなります。
いずれもうつ病につながる可能性が非常に高いのです。
セロトニンの材料となるのは必須アミノ酸であるトリプトファンです。
ドーパミンの材料となるのは同じく必須アミノ酸のフェニルアラニンです。
アドレナリンはドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリンと合成されます。
必須アミノ酸についてはこちらも参考にしてください。
学問所通信第15回 たんぱく質 -その2- >>
必須アミノ酸は体内では合成できません。また蓄えておくことももできません。
食事制限や糖質過多の食生活で、動物性たんぱく質の量が少ないと、
こうした神経伝達物質がうまく合成されず、ストレスに向き合う力が落ちてしまいます。
また「慢性的な炎症」がうつ病を引き起こすと言われています。
慢性的な炎症を沈めるためにトリプトファンが使われ、セロトニンの合成量が減ってしまうからです。
炎症の主な原因は、糖質過剰であったり、トランス脂肪酸、人工甘味料、酸化した植物油の摂取過剰が原因です。
ケトジェニックダイエットで、肉や魚から良質な動物性たんぱく質をしっかり補うことが大切です。
もちろん肉がベストです♪
マグネシウムや鉄などのミネラルとビタミンBは神経伝達物質を合成するのに重要なのでしっかり確保するようにしましょう。
ファーストフードなどやコンビニなどの糖質や添加物が多く、
栄養素に乏しい食品は極力さけるべきです。
ケトジェニックダイエットでは肉や魚の動物性たんぱく質と脂質が食事の中心となります。
牛肉、豚肉、鶏肉や羊肉は入手しやすい動物性たんぱく質です。
まずは牛肉について
牛肉はまず牧草牛を選ぶべきです。
その牧草もマメ科やイネ科の良質な牧草をたっぷりととった牛です。
成長ホルモン剤や抗生物質は使っていないほうが望ましいです。
いま商業的にこうした牛肉が手に入るのがニュージーランド産です。
オーストラリア産も日本では入手しやすいのですが、成長ホルモン剤が投薬されている可能性があります。
ここで注意したいのが、「放牧牛」=「牧草牛」ではないということです。
放牧はただ「イメージ的なもの」で、しっかりと穀物肥育されている放牧牛もいます。
しかしながら牧草牛はそもそも日本人は「おいしくない、臭い」と評価をしてこなかった牛肉です。
当店のお客様でも牧草牛を食べたけど、「臭みがあって体が受け付けない・・・」という方が多くいます。
そんな場合はおなじNZ産ビーフでも「ショートグレイン」から試してみるのも一案です。
当店の取り扱いのNZ産「オーシャンビーフ」は若干の脂肪交雑がありますが、基本的には牧草牛です。
完全な牧草牛よりは食べやすく、赤身肉に慣れていくにはよいと思います。
豚肉は放牧された豚がベストです。
ここでも放牧が「イメージ的なもの」でされていないか気を付けなければいけません。
放牧されている豚肉は、そこで、ミネラル豊富な土を食べます。
その土を食べることで、下痢を解消し、投薬の必要なく、健康的に育ちます。
放牧地に共生している野生のシカが草木を食べ、また豚の糞も食べ、そしてみずからの糞を土壌に戻していきます。こうして豚が食べる土がまた栄養を取り戻すという循環が出来ています。
鶏も本来は栄養たっぷりの牧草を食べたものがよいのですが、日本で入手するのは困難です。
最低限、抗生物質やワクチンの投与が少ないものを選ぶとよいと思います。
マクロビといった玄米菜食をしていたかたはとくに「いわゆる良い肉」を求めます。
成長ホルモン剤、抗生物質などの投薬がなく、健康的に育った食肉、
消費者が求めていくのは当然なことです。
生産者もそれに応えていかなければなりません。
ただ、現状の日本の畜産にそれを求めると「かなりの出費」になることは間違いありません。
今まさに肥満や生活習慣病をかかえ、ケトジェニックダイエットにのぞむ場合には、
「あまり気にしない」、「格安なものだけは避ける」くらいの気持ちで
とりあえず「肉を楽しんで食べる」ことが大切です。
ケトジェニックダイエットとグルコダイエットはどちらかかならず一方を選択しなければならないというものではありません。
現状多くの方がグルコダイエットを選択しており、初めてケトジェニックダイエットに移行するときに、さまざまな症状がでます。
だるい感じがしたり、便秘になったり、頭痛がしたり。
長い方で一か月以上かかる方もいるようです。
いまあなたがグルコダイエットを選択していて、健康ならば、それはそれでよいと思います。
ただ、グルコダイエットは甘い誘惑が多く、行き過ぎることがあります。
「蓄えるモードの食事」が行き過ぎると、肥満につながり、糖尿病をはじめとするあらゆる生活習慣病を患う可能性は高くなります。
いまの食生活で、なんだか調子があまりよくない、疲れやすい、糖尿病だ、という方は一度ケトジェニックダイエットを試してみることをお勧めします。(病気を持つ方は医師の指導のもと行ってください)。
ケトジェニックダイエットはいままで蓄えたものを「燃焼するモードの食事」です。
燃焼するモードになると、集中力がわき、ストレスに強くなります。なによりも疲れに強くなります。
夜はベッドに入ったとたん、ストンと眠りに落ちます。朝も快適です。
ではなぜこのケトジェニックダイエットをお医者さんや栄養士はみんなに薦めないのでしょうか?
実はこのケトジェニックダイエットとグルコダイエットは長い間、論争が行われてきたのです。
次回の学問所通信では、「ケトジェニックダイエットvsグルコダイエットの歴史と今」についてお話したいと思います。