第10回 食肉の栄養 -たんぱく質編-

学問所通信 特集コーナー

今回は食肉の栄養についてです。人間が生命活動を営み、健康的に生きていくためには
栄養をしっかりとバランスよく摂取しなければなりません。

第10回 食肉の栄養 -たんぱく質編-

食肉の栄養-タンパク質編-

栄養ってなんなのでしょうか。

3大栄養素というものがあります。

3大栄養素。糖質(エネルギーの生産)、たんぱく質(身体の構成成分(筋肉))、脂質(エネルギーの生産、身体の構成成分(脂肪))

お肉には糖質がほとんど含まれません。たんぱく質と脂質が豊富な食物です。

脂質には糖質と同じくエネルギーの生産をする役割があり、またタンパク質が筋肉として体の構成成分
となるのと同じで、脂質は脂肪として体の構成成分となります。

「お肉の脂をたくさん取ると、太る」という巷に信じられているのは実は間違いです。

糖質(=炭水化物-食物繊維)を摂り過ぎると、使われなかったエネルギーがインスリンという
膵臓からの分泌物が脂肪に変え、体の中に蓄えます。
糖質をまったくとらない生活をすると、膵臓はグルカゴンという分泌液をだし、脂肪を燃やして、
エネルギーを生産します。なので糖質をとらない生活をするとやせるのです。

この3大栄養素に無機質(ミネラル)とビタミンを加えると5大栄養素と呼ばれます。

先にも延べましたが、お肉には成人病や心臓疾患、がんを招く危険性の高い糖質が
ほとんどありません。しっかりと食べて健康的な人生を送りたいですね。


本特集ではたんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミンについて、連載していきたいと思います。

今回は「たんぱく質」です。

たんぱく質

たんぱく質には球状たんぱく質(ヘモグロビン、免疫グロブリンなど)と線維状たんぱく質
(コラーゲン、ケラチンなど)があります。
筋肉は線維状たんぱく質で構成されていて、水に溶けにくく強固です。

人間の体全体の1/3がたんぱく質です。不足すれば体力が衰え、病気にかかりやすくなります。

人間のたんぱく質は一日に300g程度が分解され、70gが尿などで体外に排出されます。
この70gを最低でも毎日補っていかなければなりません。
高齢者の場合はもっと多くのたんぱく質を補わないといけないようです。

図:たんぱく質の分解・吸収

たんぱく質は体内にとり込まれるとアミノ酸(やペプチド)に分解されて吸収されます。
またそれは肝臓で必要な体たんぱく質に再合成されます。

たんぱく質は食塩(ナトリウム)の害を防ぎ、血管を守る役割もあります。
たんぱく質が尿となって排出されるときにナトリウムも排出する作用があります。
ただ動物性たんぱく質の摂取が多くなると、食塩の摂取量が少なくなる傾向がみられるという
実験結果もあります。逆に低たんぱく(高糖質)の食事ほど塩分をほっするようです。


血管は老化にともない、弾力性がかけるようになりますが、たんぱく質はこれをしなやかに
保つ効果があります。脳卒中や血管障害を予防します。

肝臓は約2週間で半分があたらしいものに入れ替わるそうです。毎日しっかりたんぱく質をとらないと
弱っていってしまいますね。

アミノ酸とは

たんぱく質が分解されると約20種類のアミノ酸に分解されます。
アミノ酸には人間の体内で合成できない9種の必須アミノ酸があります。

図:アミノ酸の種類

たんぱく質が良質かどうかはこの必須アミノ酸がバランスよく含まれているかということに
なります。
このバランスのよさを【アミノ酸スコア】と呼びます。

牛肉、豚肉、鶏肉はこのアミノ酸スコアが100点満点なんです。
かつ糖質がすくないというすぐれものです。


お肉を食べると筋肉をつくるだけでなく、肝機能の改善、コレステロール値の改善ができます。
またトリプトファンは精神安定の上でもとても重要な役目をになっています。

逆におこめのアミノ酸スコアは65点です。
糖質が多く、たんぱく質が少ない上に、バランスも悪いということになります。

お肉は低糖質、高たんぱくの優れた食材です。
脂肪は部位や育て方によって大きく変わります。

この脂肪については次回でふれます。