前回の特集ページでは「脂質」を紹介しました。
今回は糖質(炭水化物)です。
炭水化物のうち食物繊維を除いたのこりが糖質です。
炭水化物≒糖質として考えてもよいほどです。
端的に言えば砂糖です。
甘いので糖質という言葉から想像つくかもしれません。
また気づきにくいのですが、
じゃがいもや米なども実はほとんど糖質なのです。
前回と前々回で、たんぱく質と脂質を見てきました。
人間が体内で合成できず、食事からとらなければならない
「必須アミノ酸」と「必須脂肪酸」がありました。アミノ酸はタンパク質が消化されてできます。
実は驚くべきことに「必須糖質」というものはありません。
ざっくりゆうと「糖質」は外部から摂取しなくても、
人間はたんぱく質と脂質からエネルギーを作って活動することができるのです。
糖質制限ダイエットというものがあります。
糖質の制限をしてもなかなか痩せない、成果がでないという方も多くいます。
実は隠れ糖質を知らないうちにとっている場合があります。
たとえば「じゃがいも」や「里芋」。知っていればじゃがいもは糖質の塊なのですが、
知らないとむしろダイエットと称して積極的にとってしまっているかもしれません。
これらはでんぷんでできていて、体に吸収されるときにはグルコース(ぶどう糖)になります。
また唐揚げやとんかつのまわりについている揚げ粉やパン粉も糖質です。
ケーキなどは甘いので糖質という言葉からは連想しやすいのですが、
意識しないと糖質というものは食品のあらゆるところに潜んでいます。
しっかり学んで、よい食生活をおくれるようにしたいですね。
炭水化物は糖質+食物繊維です。
糖質は糖質には単糖類、少糖類、多糖類とその他が含まれます。
また糖類には単糖類と少糖類のうち二糖類が含まれます。
単糖類はグルコース、フルクトース、ガラクトースがあります。
単糖類は炭素の数により、三炭糖から七炭糖まであります。
特に重要なのは五炭糖(ペントース)と六炭糖(ヘキソース)です。
グルコース、フルクトース、ガラクトースは六炭糖です。
単糖の一部が変化した化合物を誘導糖といいます。
誘導糖にはアミノ糖(グルコサミン)、ウロン酸、糖アルコール、糖アルコールについては
後述いたします。
少糖類は大きく分けて二糖類とその他の三糖類、四糖類、など、
単糖がグリコシド結合した数で分かれます。
重要なのは二糖類で、単糖類であるグルコースとフルクトースが結合したスクロース(ショ糖)、
グルトースとガラクトースが結合したラクトース(乳糖)、グルコース同士が結合したマルトース(麦芽糖)があります。
名前からも想像がつきやすいのですが、ショ糖は砂糖の主成分でさとうきびに、乳糖は動物の乳に、麦芽糖は麦芽に多くふくまれます。
多糖類は単糖がより多数結合したものです。でんぷんやグリコーゲンがあります。
でんぷんはグルコースのみからできています
でんぷんやグルコースは加水分解によってマルトースを生じます。
少糖類や単糖類は体に摂取されると消化され単糖にまで分解されて
エネルギーのもととなります。
炭水化物 | ||
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一般構造 | アルドース · ケトース · ピラノース · フラノース | |
立体構造 | エピマー · アノマー · 変旋光 | |
単糖類 | トリオース | ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン) · アルドトリオース(グリセルアルデヒド) |
テトロース | ケトテトロース(エリトルロース) · アルドテトロース(エリトロース、トレオース) | |
ペントース | ケトペントース(リブロース、キシルロース) | |
アルドペントース(リボース、アラビノース、キシロース、リキソース) | ||
デオキシ糖(デオキシリボース) | ||
ヘキソース | ケトヘキソース(プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース) | |
アルドヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース) | ||
デオキシ糖(フコース、フクロース、ラムノース) | ||
ヘプトース | セドヘプツロース | |
マルチプル | 二糖類 | スクロース · ラクトース · マルトース · トレハロース · ツラノース · セロビオース |
三糖類 | ラフィノース · メレジトース · マルトトリオース | |
四糖類 | アカルボース · スタキオース | |
その他の オリゴ糖 |
フラクトオリゴ糖(FOS) · ガラクトオリゴ糖(GOS) · マンナンオリゴ糖(MOS) | |
多糖類 | グルコース:グリコーゲン · デンプン(アミロース、アミロペクチン) · セルロース · デキストリン · グルカン(β1,3-グルカン) | |
フルクトース:フルクタン(イヌリン、レバンβ2→6) | ||
N-アセチルグルコサミン:キチン質 | ||
主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
<出典 Wikipedia>
ソフトドリンクの原材料ラベルをながめると、「ぶどう糖果糖液糖」とか「果糖ぶどう糖液糖」など
なんとも甘い名前の原材料が入っています。これは異性化糖とよばれるものです。
上記の図の中にも果糖液糖や異性化糖はでてきていません。これは何なんでしょう。
異性化糖はでん粉から人工的につくられます。
3回の酵素反応(液化、糖化、異性化)と精製、濃縮が必要となります。
低温では砂糖より甘味がますため、ソフトドリンクや氷菓子によくつかわれています。
また大量生産が可能で価格も安いので食品加工には欠かせない糖です。
砂糖よりもカロリーが低いのでダイエット商品にもよく使われていますね。
でも所詮、糖です。
肥満がアメリカで多くなったのもこの異性化糖のせいではないかといわれています。
ちなみにヨーロッパ諸国(EU圏)では異性化糖はあまり使われていません。
単糖の一部が変化した化合物に「糖アルコール」があります。
有名なものはキシリトールです。
糖アルコールは砂糖よりも甘味が弱いです。 小腸で吸収されないので、通常の砂糖と比べると血糖値の上昇が小さいということがあげられます。過剰摂取すると下痢などの原因になります。
エリスリトールもこの糖アルコールです。ぶどう糖を発酵することで作られます。
他の糖アルコールの中で唯一血糖値を上げないとされているので、
糖質制限食を実践する人々に人気です。
これまでにのべてきた糖質は基本的には天然甘味料(人工的に合成される場合も含む)です。
人工甘味料は合成甘味料ともよばれ、人工的に合成することでつくられます。
コストが格安なため、食品加工に大量に使われています。
アステルパーム、スクラロース、サッカリンなどです。
安い加工品の裏側をみるとよく使われていますよね。
カロリーゼロとかカロリーオフと銘打った甘い商品にはこの人工甘味料がつかわれています。
でも実は砂糖以上に太る危険もあります。
人工甘味料は人間の脳をだまし、口にしたとたん、脳は血糖値をさげようと働きかけます。
ただ実際には糖質がはいってこないため、低血糖になります。
またさらに食欲を伴います。それにより食べ過ぎが起き、太ってしまいます。
気をつけないといけないですね。
糖質は三大栄養素の中で唯一血糖値を上昇させます(高血糖)。それはインスリンの分泌を促します。
インスリンは別名で「太るホルモン」とも呼ばれています。
糖質の過剰摂取は膵臓からインスリンの大量分泌を促し、摂取した糖質をせっせと脂肪に変えていきます。
インスリンが血糖値をさげていきます。(グリコーゲンとなって肝臓に蓄えられるものもあります)
もちろん糖質はエネルギーにも変わるので、きちんと使われれば、脂肪になることはありませんが、いまのご時世、あらゆる食事にかなりの量の糖質が紛れ込んでいます。
オフィスワークなどで運動不足なのに、食事はごはん、パン、ラーメンなどの糖質中心だと、脂肪はたまる一方です。高血糖からインスリンによって低血糖になる過程で睡魔にも襲われます。
肥満のひとには低血糖症が多いそうです。
これはインスリンがたくさんでやすく血液中の糖分が少ない状態です。
少量の糖質摂取でもあっと言う間に大量のインスリンが分泌され糖質を脂肪に変えてしまいます。
痩せている方でも、筋肉が少なく、体脂肪が多い隠れ肥満にも低血糖症が多いようです。
そしてそれが行き過ぎると膵臓の機能がこわれ、血糖値を下げることができず高血糖状態が続きます。
これが糖尿病です。
タンパク質や脂質は血糖値をあげることがありません。つまりインスリンの分泌を促さないので、
高血糖状態にも低血糖状態にもしません。そして、うれしいことに、脂肪も増やしません。
肉を食べても太りません。脂をとっても太りません。
太る原因は糖質のみなのです。
糖質を摂ると血糖値が上がり、膵臓からインスリンが分泌され、せっせと脂肪に変えます。
血糖値に 直接的に 影響を与えるのは糖質のみなのです。
次回は、これまでのまとめとして、たんぱく質、脂質、糖質(炭水化物)がどのように代謝されエネルギーとなるのかをさらに詳しくみていきます。糖新生やコレステロールの代謝についてもみていきます。