これまで2回の特集で牛の流通と格付けをご紹介してきました。
牛の流通(第6回)>>
牛の格付け(第7回)>>
今回は牛肉の部位についてご紹介したいといます。
ご存知の方がほとんどだと思いますが、牛肉といってもいろんな部位に分かれます。
また部位によって、カットによって、適した料理というものがあります。
もちろん好みの問題もありますので、一般的な話をさせていただきたいと思います。
ロースは大きく、肩ロース、
リブロース、サーロインに分かれます
高価な部位サーロイン
サーロインはお肉の中ではもっとも霜降りが入りやすく、
やわらかくておいしい部位になります。
基本的にモモ肉やウデなどよりは値段が高く取引されます。その中でもサーロインは貴族の称号「Sir」を与えられたもっとも高価な部位です。
厚切りのステーキなんかで食べたいですね。
やわらかいリブロース
リブロースはサーロイン並にやわらかいのですが、
お肉のまわりにロースカブリなどがついてしまうため、一段安くなります。
味の濃い肩ロース
肩ロースは頭側に近いため、固くなるのですが、味が濃い部分です。すき焼きなどにぴったりですね。
ただこの肩ロースには希少部位「ザブトン」と呼ばれるお肉が潜んでいます。写真は肩ロースを真ん中で大きくわったものですが、その部分にザブトンがついています。この部位をきちんと商品化し、のこりの部位をいかに売り切るかというのが肉屋としてのウデの見せ所です。
5つの名称に分かれるヒレ
ヒレというのもあります。このヒレは背骨をはさんでサーロインの内側にくっついています。ほとんど運動することがないので、とても柔らかいお肉になります。ただこのヒレ、 一本3~4kg程度なのですが、5つの名称にわかれます。 みなさんお聞きになったことのある「シャトーブリアン」は中心部の一番肉厚でやわらかいところだけをいいます。シャトーブリアンはヒレですが、ヒレはかならずしもシャトーブリアンではないのです。 すこし厚めのステーキがおいしいですね。
今回、ウデ(肩)とバラは割愛して最後にモモ肉について説明します。
モモ肉は一頭からやく80Kg~100kgもとれる大きな部位です。
大きいだけに味も多様です。
しかもモモ肉は大きく4つの部位にわかれます。
その4つとは、ランイチ、シンタマ(マルモモ)、ウチモモ、ソトモモです。
ランイチはランプとイチボという部位にわかれます。
ランプステーキといえば赤身でやわらかくおいしいイメージですね。
それとは対照的にイチボは霜降りがばっちり入ります。ステーキや焼肉、しゃぶしゃぶにぴったりです。
複雑なモモ、シンタマ
シンタマはモモの中でも非常に複雑なモモです。ただ、みなさんも聞いたことのある「トモサンカク」は
このシンタマにくっついています。モモ肉とは思えない、霜降りたっぷりの部位です。
焼肉にぴったりですね。
またシンタマからトモサンカクを分割したあとお肉からはシンシンとよばれるこれまた霜降りの入りやすい部位がとれます。
今回写真はありませんが、ウチモモは大きなモモ肉でローストビーフ用のブロックなどがきれいに取れます。ソトモモは固めなのでしゃぶしゃぶ用などにうす切りするととてもおいしいです。
スーパーなどのお肉屋さんではスタッフの技術も未熟なので、
モモ肉はいっさいがっさいまとめて切り落としにされたり、
単純にモモうす切りとか焼肉用とまとめられて販売されてしまっています。
でも本当はモモ肉の中でも焼肉にはここ、しゃぶしゃぶにはこことオススメがあります。
それをうまくお客さんに提案して、きれいに売り切るのがお肉屋さんの腕の見せどころとなります。