九州食肉学問所の想い

九州食肉学問所の名前の由来

私が経営者となった当時【牛海綿状脳症(BSE)】とそれに付随して頻発した【牛肉偽装事件】により食肉業界の信頼は失墜していたと思われます。その後も食肉にかかわる事件が相次ぎました。こうした信頼を取り戻したい。それにはまず肉屋が肉のことを学ぼう。私たち肉屋がまずお肉のことをきちんと理解して、皆さまに安心・安全でおいしいお肉をお届けしたいという気持ちを胸に【九州食肉学問所】と名付けました。

しかしながらその後も【毒餃子事件】、【牛豚口蹄疫】、【鳥インフルエンザ】など食肉業界にはさまざまな事件がつきまといました。

極め付けは【放射能汚染牛肉の流通】です。

最近では、【遺伝子組換え飼料】、【成長促進目的のホルモン剤・抗生物質】も食の安全性にかかわるキーワードとなってきています。さらに大きな農業の枠組みとして【循環型農業】、【アニマルウエルフェア】という課題もあります。

鹿児島放牧黒豚(沖田黒豚農場)

こうした課題に提携する畜産農家さんと一緒に取り組みながら、真の意味で安心・安全、かつおいしいお肉を皆さまに届けしていきたと想っています。

現状すべての問題を解決するには至っておりませんが、なにとぞ皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。

九州食肉学問所のビジョン

九州食肉学問所のビジョンは

「栄養価の高い食品の生産・販売と糖質制限食の普及を通して、健康で楽しい日本を作る」ことです。
日本は豊かになったといわれますが、ほんとうに健康で楽しい生活ができるようになったのでしょうか。

日本は現在、過去最大の国家予算と膨大な国の借金を抱えています。医療費の膨張と少子高齢化が大きな要因として挙げられています。生活習慣病の蔓延とその低年齢化、ストレスからくる自殺者、介護が必要な高齢者の増加、子供の虐待といったキーワードが世間をにぎわせています。

こうした問題の大きな原因のひとつに、「食事の質の低下」が背景にあると考えています。食事の質の低下の大部分はその原料である食材の質の低下が影響しています。さらに、簡単にお腹を満腹にさせる、栄養に乏しい加工食品なども問題です。

「私たちの体は、私たちが食べたものでてきている」のです。

食事の質が低下すれば、病気になりやすく、またストレスにも弱くなります。解決方法は「食事の質を高くする」ことです。

特にお肉は私たち人間の健康に欠かせない栄養価が豊富な食材です。

私たちは肉屋として、お肉と人の健康を考え、よりすばらしい活力のある日本を創造していきたいと考えています。

九州食肉学問所のミッション

私たちのビジョンを実現していくために、九州食肉学問所では次の3つを取り組んでいくべきミッションとしています。

・栄養価の高い食品の生産と販売

・正しい糖質制限食と食肉の知識の普及

・微生物作用とタンパク質熱変性の研究

上記3つに取り組んでいきます。

九州牧草牛の子牛(山下牧場)

栄養価の高い食品の生産と販売

栄養価の高い食品をただしく食べることが、健康的な食生活実現の第一歩です。栄養価の高い食品のためには、栄養価の高い食材(もちろん食肉)の生産がかかせません。

栄養価の高い食肉を生産するためには

・家畜が健康であること

・飼料に栄養があり信頼のおけるものであること

・抗生物質等の投薬がないか、予防目的に限られていること

が最低限として必要です。

上記の点に生産者の方々と取り組みながら、栄養価の高い食肉の生産を実現していきます。しかしながら、栄養価の高い食肉は高価なものになりがちです。

また一般的な「おいしさ」とトレードオフの関係にある場合もあります。高いブランド肉だから、栄養価が高いということもありません。

こうした点についても情報発信をおこないながら、できる限りリーズナブルで栄養価の高い食品の生産と販売を皆さまのご意見もいただきながら、取り組んでいきたいと考えています。

正しい糖質制限食と食肉の知識の普及

九州食肉学問所は、一般社団法人日本糖質制限医療推進協会(代表理事 江部康二医師)が推奨する「糖質制限食」の普及活動に取り組んでいます。

糖質制限食は、糖質の制限だけではなく、タンパク質と脂質をしっかりと補う食事です。

タンパク質と脂質を補うために、お肉はとても重要です。そこで、糖質制限食とともに食肉の知識についても正しく理解をしてもらうための情報発信もおこなってまいります。

糖質制限食は、生活習慣病の予防や改善をはじめ、減量・健康改善にも大きな効果を上げています。そして、生化学・生理学的な観点からも、人間が本来とるべき食事法です。栄養価の高い食品を正しい食事法で摂取することが、日本国民の健康の改善に不可欠です。そしてそれは、増大する社会保障費の削減にも貢献すると信じています。

微生物作用とタンパク質熱変性の研究

九州食肉学問所では、微生物作用とタンパク質熱変性についても研究し、情報を発信してまいります。

「微生物作用およびタンパク質熱変性研究所」(通称:びたけん)を運営しています。

微生物は私たちヒトの皮膚や腸内のみならず、自然界のあらゆるところに存在しています。微生物の作用は、私たちの健康になくてはならないことが次々と判明してきています。微生物は、食品をよりおいしくしたり、やわらかくしたりする作用もあります。

栄養価の高い食肉の生産にも微生物の作用は大切です。タンパク質熱変性はお肉をおいしく食べるために必要なことです。人間は火の使い方を覚え、加熱調理することで、腸からの栄養吸収の能力を高めました。また腸での負担が減った分、脳の発達にエネルギーを回すことができるようになりました。現代の食品の多くは、過度に殺菌され、加熱調理されているため、栄養価に乏しくなっている面もあります。

微生物作用とタンパク質熱変性も私たちの健康にとって欠かせないことです。