第10回コラム:まとめ② おさらい 1

三島学先生
糖質制限食コラム
子供の糖質制限

第10回コラム
まとめ② おさらい

 まず、「人の体は、水分60%、たんぱく質20%、脂質15%、ビタミン・ミネラル4%、そして、糖質1%からできている」でした。脳の乾燥重量を見ても、「60%が脂質、40%がたんぱく質」でした。
行政が推奨する炭水化物60%の食事は間違いであり、糖質制限こそが人類本来の食事であったのです。江部康二先生の尽力で、いまや一時のブームではなく、コンビニ、スーパー、レストラン、なんと、栄養ドリンク、龍角散までも糖質オフの製品を作っており、社会的なステータスが確立したと思います。

 次に、「理想体重の7.5倍の量の肉・卵を食べる」でした。50㎏の方で375gになります。すると、太っている人もやせている人も適正体重に近づきます。ところが、糖質制限をしているのにやせないという人もいます。よくよく聞いてみると、おやつにせんべいを食べていました。せんべいも糖質です。
「あなたを見れば食べているものがわかる」、なぜなら、「あなたの体は食べたものでできている」からですね。もちろん、「水を飲んでも太る」というのは言い過ぎでも、個人で代謝が異なるので、「やせの大食い」や「100%溜め込む」人も出てきます。
ですから、「江部式糖質制限」(一食あたりの糖質20g以下)を基本に、個々に、自分に合う「糖質制限」を構築していく必要があります。
私は、仕事が終わった後、夜の10時・11時に、一日一回の食事を取ります。内容は、肉400gと〆の卵3個のスープと、少量のモヤシや青菜です。焼酎200mlをお湯割り3杯にして飲みます。ほとんど外食をしないので、87㎏あった体重も、糖質制限を始めて7年、60㎏前後を保っています。2型糖尿病のための治療や服薬も受けていません。
それでも、CGM(随時血糖値測定器)を着けたことで、睡眠時低血糖を起こしていたことが分かりました。眠っている間も、肝臓では糖新生といって糖質が作られていますが、アルコールを摂取することで、肝臓はその分解に回り、糖新生がおろそかになってしまっていたのです。そこで、最近は、あえて、一杯の赤ワインを飲んで少量の糖質を取るようにしています。

 さらに、「水分は、1日2L取りましょう」でした。一時間に一度、コップ八分目程度の水分をちびちび取るのが目安になります。私の場合、日中は、コーヒー、紅茶、ルイボスティーを飲んでいます。1.5L前後になると思います。夜のお酒とスープで合計2Lになる計算です。

 また、「一日、一食でよい」とも言いました。3食は食べすぎというのは、消化・排泄に13時間かかるので、胃腸に負担をかけないためにも、次の食事は13時間後と考えると、一日1食か2食が適正となります。
「食べる順番ダイエット」=栄養失調ですから、やせて当然です。必要以上にやせるのは不健康な明かしですから子供には勧められません。そもそも「糖質の急激な吸収を避けるために野菜から食べましょう」の実際は、「野菜を食べたら、20分、間を空けましょう」
ですから、この食事法は受け入れがたいです。
また、「野菜は一日350g食べましょう」も問題です。野菜を食べるだけでお腹がいっぱいになり、必須栄養素が満たされません。学長の口癖、「肉は効率のよい食事」は正しいのです。

 結論的には、「理想体重の7.5倍の肉と卵を一日2回で食べる」ということになります。成長期で、運動量の多い子供は、さらに、その2倍でも3倍でも食べてかまいません。現に、「三島塾」の生徒は、一枚2,500円もする、九州食肉学問所のオーシャンビーフ・ステーキカット300gをお代わりします。食事代無料、一回6,480円の指導料ですから、家賃を稼ぐために、これからも本を書き、講演に出かけなければなりません。笑

 人類の誕生から100万年、私たちホモサピエンスは20万年、穀物栽培は1万年です。しかも、日本は、わずか50年前、前の東京オリンピック以降、ようやく“豊かな”食事ができるようになったのです。
ライオンの狩猟は3日に一度だそうですが、私たちのご先祖も一日中歩き回って、獲物はウサギ一匹だったこともあるでしょう。途中で、「木の実やしょぼい果実が見つかればラッキー」(江部康二)でした。私の目には、今の甘すぎる改良品種はその残留農薬や化学肥料の面からも猛毒にしか映りません。
一日2食から3食になったのは、戦国時代の“戦さ飯”から、江戸期に灯りをともすようになって生活時間が長くなり、お腹がすくので、「夜鳴きそば」や「屋台のすし」の形で“夜食”をとるようになったからです。

 たしかに、穀物栽培は定住を可能とし、保存が利くので便利です。しかし、そのほとんどが糖質を70%も含んでいます。いまや糖質過剰の食生活なのです。
私は、東北の貧しい山村で育ちました。宮城県は米どころです。しかし、お米は売るものであり食べるものではありませんでした。56人いたクラスに弁当を持って来られない者が数人いました。納豆はよく食べました。水田のあぜで作られた大豆で自家製だからです。卵は貴重品で、病気にでもならないと食べさせてもらえませんでした。

 貧しかった時代の子供は親になり、祖父母になり、自分の子供たちにはおいしいものを腹いっぱい食べさせたいと思いました。甘いものは何よりのご褒美でしたから。
先日、「令和の10連休」で、長男の家族が帰省しました。ひ孫をよろこばせようと、ひい婆ちゃんが用意したものはプリンでした。薬なら、大人と子供では用量が違います。プリンなど、お菓子類にはそういう区別はありません。ひ孫たちは喜んで完食しました。すると、とたんに暴れ出しました。たった一個のプリンでもこのような変化が起きます。
まして、給食の焼きそばパンにいたっては、<パン+麺+ソース>の糖質三重奏です。午後の授業は、先生たちも手がつけられません。それを毎日3食食べてよいはずがありません。

 糖質ばかりではありません。添加物も年に8kgも食べさせられているというデータがあります。フェイスブックに扉は立てられません。海外在住の皆さんから、国内では普通に売られているお菓子や調味料にはヒ素が含まれていて、外国では毒物扱いになっていることを知りました。
欧米の消費者に比べ、日本人の多くは食品に無関心です。政府も企業寄りで、添加物、遺伝子組み換えに“寛容”です。
私たち自身が学び、疑うことで、家族を守り、周囲の人を巻き込み、健康生活を維持する必要があります。
糖質制限食品が売れるとなると、企業はこぞって糖質オフの製品を作ります。危険な食品を買わなければ、企業はやはり安全な食品を作り出すでしょう。

 わが国は、世界有数の長寿国であるといっても、最後の10年は寝たきりという現状があります。二人に一人はがんで死ぬという現実があります。
糖尿病になったら糖質制限ではありません。糖尿病にならないための糖質制限なのです。
というのも、糖尿病は痛くもかゆくもありません。しかし、その先にあるのは、週3回4時間の人工透析(年間600万円の医療費)、さらに、失明、手足の切断、がん、脳梗塞、心筋梗塞だからです。

 私は、まもなく70歳になります。今のところ、毎週、北九州と東京を往復して、妻や次男と「三島塾」の塾生の指導に当たっています。
6月、大阪池田市で、7月、東京・がんコンベンションでの講演もあります。「電気圧力鍋」のレシピ本も執筆中です。

 こうして元気で、おいしく楽しく、生きていられるのは、「江部式糖質制限」と「アドラー心理学」(目的に生きる、できれば他者貢献)のおかげと思っています。