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学問所通信 特集コーナー

第15回 たんぱく質 -その2-編

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5大栄養素は

三大栄養素(MacroNutrients)

ビタミンやミネラルなど(MicroNutrients)に分けられます。


三大栄養素の中でもたんぱく質は人間の生活にとって大切な多くの働きをしています。
炭水化物(糖質)の過剰もさまざまな問題を引き起こしますが、
たんぱく質不足もいろいろな病気の引き金になります。

今回はさらに深くたんぱく質を学んでいきたいと思います。

第15回 たんぱく質 -その2-
食肉の栄養-ビタミン-意外と知らないビタミンの役割


まずはおさらい+α

たんぱく質、脂質、糖質、栄養学(栄養素のエネルギー代謝)、ビタミンと学んできました。
5大栄養素にはあとミネラルがあるのですが、ここに進むまえに、
たんぱく質をもう少し深く掘り下げていきたいと思います。

掘り下げようと思えばどこまでも掘り下げられるのですが、
最低限知っておきたい、たんぱく質のヒミツを学んでいきましょう。

いま巷にあふれている栄養剤やサプリメントが
どれだけ意味の無いものかもおわかりいただけると思います。

サプリに頼るのではなく、糖質を控え、たんぱく質と脂質を
しっかりお肉や玉子からとることが薬いらずの健康な体への第一歩です。

たんぱく質とは

たんぱく質は消化されてペプチドになり、最終的に約20種類のアミノ酸まで分解されて、体内に吸収されます。
20種類のアミノ酸を化学構造式で書くと、

図:アミノ酸の種類と構造

となります。で囲んであるものが、前回もふれた必須アミノ酸というものです。必須アミノ酸は体内で合成できないので、食べ物から摂取しなければなりません。

お肉やたまごはアミノ酸スコアが100であり(お米は65、小麦粉は35)であり、
しっかり食べれば体に必要なアミノ酸はきちんと補えます。

アミノ酸の化学構造式に共通なのが、
H2N-CH-COOHという部分です。CHから下にのびる部分(残基 Rと表現されることもある)でアミノ酸の種類が決まります。

H2N部分をアミノ基 COOH部分をカルボキシル基(酸性)と読んでいます。アミノ基と酸性の基があるのでアミノ酸と呼ばれます。

アミノ酸のカルボキシル基とまた別のアミノ酸のアミノ基が結合(ペプチド結合)してペプチドとなります。
たんぱく質はアミノ酸がさらに多数結合し、折りたたまれコンパクトになったものです。

たんぱく質が分解されるときには、この折りたたみを消化酵素が切断していくことで
アミノ酸まで分解され、体内に吸収されます。

アミノ酸の代謝

これまでは代謝を「エネルギー生産」の意味で使ってきました。
栄養学的にはそれで十分なのですが、たんぱく質は人間の体でエネルギーとして
利用されるだけではありません。

ヒトが健康的に活動するために必要なものにアミノ酸が化学変化することも代謝とよばれます。

エネルギーになる以外の代謝としては

たんぱく質を合成する、糖新生に利用される、生理活性物質を合成する

というものがあります

たんぱく質を合成する

摂取したたんぱく質がそのまま筋肉や臓器のたんぱく質になるのではありません。
アミノ酸まで分解され、それが再度必要なたんぱく質に合成され、再び体を作っていきます。
人間は体重の約半分が水分です。そして20%がたんぱく質です。 体重60kgなら12kgもあります。
水分を除いた部分では大部分がたんぱく質です。

筋肉、臓器、髪の毛、爪などで古くなったたんぱく質は、
アミノ酸から新しいたんぱく質を作ることで、入れ替えられていきます。

ちなみに、

胃腸の細胞は約5日周期
心臓は約22日周期
肌の細胞は約28日周期
筋肉や肝臓などは約2ヶ月間の周期
骨の細胞は約3ヶ月周期


細胞の新陳代謝が正常であれば身体は3ヶ月で新しく生まれ変わるとされています。 2ヶ月もあれば骨以外の部分は新しいものに変わってしまうのですね。体には60兆個の細胞があるといわれているので、すごいスピードですよね。

ちなみに病気にかかりにくい健康的な生活を送るには体重1kgあたり1gのたんぱく質を摂取することが必要とされています。また糖質を抑えた食生活であれば、さらに量を増やしても問題ないでしょう。

学長は体重1kgあたり2gのたんぱく質を最低取るようにしています。これ以上増えても太ることはないですが、痩せることもないなあというのが実感です。

◆アミノ酸の設計図について

アミノ酸からどんなたんぱく質をつくるのかという設計図は細胞の中のDNAに記述されています。
そしてRNAといものがそれをもとにたんぱく質を合成していきます。

RNAには三種類あります。

 ・mRNA(メッセンジャーRNA)DNAにある遺伝子情報をコピーしてできてくるRNAです。
 ・rRNA たんぱく質合成工場とされる細胞内のリボゾームに含まれます。
 ・tRNA(トランスファーRNA)は必要なアミノ酸を運んでくる役割をします。


体が必要とするとあるたんぱく質の設計図にもとづいて必要なアミノ酸を運びこんで
工場でたんぱく質を作っています。

20種類あるアミノ酸がいろいろな組み合わせで特有なつながりをすることで、
様々な機能を果たすたんぱく質ができあがります。 

体には最大でも10万種類の性質のことなるたんぱく質があるといわれています。

20種類のアミノ酸の組み合わせでできるのですからすごいですよね。


DNAやRNAにはプリン塩基やピリミジン塩基と呼ばれるものがあり、
これらもアミノ酸から合成されます。
たんぱく質を合成するDNAやRNAも、実はアミノ酸から合成されているのです。
ちなみにプリン塩基は痛風のひとがもっとも怖がるプリン体です。

たんぱく質の消化を促す消化酵素に、ペプシンやペプシノーゲンがあります。糖質ならアミラーゼですね。
実はこれもたんぱく質の一種です。

たんぱく質でたんぱく質を分解するとはおもしろいですね。

消化酵素だけでなく、生体内でエネルギーを作ったり、ある物質が別の物質に変わったり、物質同士がくっついたりする化学反応には酵素というものが関わってきますが、これらも基本的にはたんぱく質です。酵素については次回の通信でふれたいと思います。

糖新生に利用される

人間は体内のグルコース(ぶどう糖)やグリコーゲンが枯渇すると必要とされる大部分のグルコースを
体内で合成することができます。それを「糖新生」と呼んでいます。

第13回 栄養学と糖質制限の「たんぱく質の消化・代謝」のところで、

アミノ酸はアミノ基転移反応により、α-ケト酸とグルタミン酸に分解されると説明しました。

α-ケト酸(ピルビン酸)はミトコンドリア内でTCA回路にはいり、エネルギー代謝に利用されます。

TAC回路内でクエン酸からオキサロ酢酸になり、またクエン酸にもどる過程でエネルギーが
代謝されるので、クエン酸回路ともよばれています。
(※電子伝達系、酸化的リン酸化を通してエネルギーは生産されます)

図:TCA回路

この図をアミノ酸による糖新生の視点でみると、下図のようになります。 アミノ酸がいっぱいでてきます!

糖新生ではミトコンドリア内で種々のアミノ酸からTCAサイクルの途中の物質が作られ、TCAサイクルの一部が動くことになる。

エネルギー生成の過程においてはピルビン酸は
アセチルCoAからクエン酸→イソクエン酸になりオキソグルタル酸になことで
TCA回路でエネルギーを作っていきました。

しかしながら、血糖値が低下して糖新生が必要なときは、
ピルビン酸はオキサロ酢酸に酵素によって変えられます。
アセチルCoAにはならずTCAサイクルでのエネルギー生産は抑制されます。

オキサロ酢酸はホスホエノールピルビン酸となって細胞質ゾルでグルコースに変えられ、
血中に放出されることで血糖値を上昇させます。

またTCA回路ではアミノ酸が2-オキソグルタル酸になり、そこからまたオキサロ酢酸になり、
糖新生に使われることになります。

アスパラギン酸もアミノ基を2-オキソグルタル酸に渡すことで、オキサロ酢酸に変わります。
アミノ基を渡された2-オキソグルタル酸はグルタミン酸になります。
複雑ですが、ようはグルタミン酸やアスパラギン酸がオキサロ酢酸というものになることで、
糖新生に使われることになります。


◆グルタミン酸

グルタミン酸というとアレを思い出す方もいるかもしれません。
あの料理をおいしくするアレです(笑)
アレはグルタミン酸ナトリウムというもので、このグルタミン酸が主成分です。

グルタミン酸は生体内でさまざまな役割をするアミノ酸です。上記でみたように、糖新生でも使われますし、たんぱく質などの原料になります。
脳の神経伝達にも重要な役割(興奮性伝達物質)を果たします。

グルタミン酸サプリも高額で市販されていますが、過剰に摂取したグルタミン酸は尿として捨てられるだけです。きちんと食事を取っていればまったく不要です。

◆アスパラギン酸とアスパラギン

アスパラギン酸とアスパラギンというアミノ酸もよく耳にすると思います。
アスパラギン酸が酵素によってアスパラギンに変わります。
※グルタミン産やグルタミンとも深い関係があります。

糖新生でも重要な役割を果たしますし、核酸のプリン塩基の材料などいろいろな役目を果たします。

アスパラギン酸で疲労回復!とうたったサプリやドリンクもたくさんあります。
でも非必須アミノ酸であり、体内にたっぷりあるので、
食事以外から摂取することはほとんど意味がありません。

むしろ、ドリンクを甘くしている糖質を摂取していることになります。

生理活性物質を合成する

アミノ酸からカルボキシル基(-COOH)がとれてアミノ基だけになったものをアミンと呼びます。

アミンの中には、生理活性物質として人間が人間らしくいきていくために
必要な機能を持つ物質が多くあります。

その名称はおそらくどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

◆ヒスタミン

必須アミノ酸であるヒスチジンからヒスタミンが合成されます。
胃でヒスタミンが分泌されると、胃液の分泌を促進して消化を助けます。

また肺、肝臓、脳にも存在して、これからの活動を手助けしています。
ただこのヒスタミンが皮膚で放出されるときには蕁麻疹となります。

青魚のサバなどをたべて蕁麻疹がでたことありませんか?これはヒスタミン食中毒です。
サバの印象が強いのですが、カジキマグロやマグロなどの赤身魚やブリでおこる
ヒスタミン食中毒が実はもっとも多いのです。

◆ドーパミン

フェニルアラニンやチロシンといったアミノ酸は脳の中でドーパミンを合成します。
ドーパミンは神経伝達物質として知られています。これがなくなるとパーキンソン病になります。

ドーパミンはさらに変化してノルアドレナリンにもなります。
これも脳の中で神経伝達物質として機能しています。 ノルアドレナリンは副腎髄質でアドレナリンとなり分泌されます。

◆セロトニン

脳中のトリプトファンから合成されるのがセロトニンです。「幸せホルモン」とも呼ばれます。
不足すると気分の落ち込み無気力症状などのうつ状態になってしまいます。

◆GABA

GABA(ギャバ)サプリもいろいろ販売されていますね。
GABAというのはγ-アミノ酪酸(gamma amino butyric acid)の略です。
脳内にあるグルタミン酸から合成されます。
神経伝達物質として重要な物質です。
サプリで摂取したGABAが、脳内で使われることはありません。
お肉や卵をしっかり食べていれば、これらの生理活性物質は基本的に不足する問題はありません。

サプリメントの効果について

図:サプリメント 余談ですが、コラーゲンやグルコサミンとか、ヒアルロン酸、コンドロイチンといったサプリを耳にしたことがあると思います。サプリの宣伝に、高齢でも若々しい肌や髪の女性が登場しますよね。
でもサプリの効果ではまったくなく、むしろ遺伝的な要素が強いそうです。
というよりもそれらのサプリの効果は科学的にまったくわかっていないといってもよいと思います。これらを食事から十分とっても肌ツヤのよくないひとや足腰のわるいひとはたくさんいるそうです。
害も効果もないから「サプリ」なのです。

もっともウソが多いのがコラーゲンです。
コラーゲンは本来骨の骨格となる部分です。
コラーゲンの周りにカルシウムがついて上部な骨を形成します。
コラーゲンは摂取すると消化酵素によりバラバラに分解され、一部は体外に排出されます。
そして再び体内で合成されるのです。

コラーゲンのサプリでの摂取には直接的に肌を綺麗にする効果はありません。

この他にもアミノ酸やビタミン、そして鉄分のサプリが販売されていますが、
気をつけないとただ単純に添加物や糖質を摂取してしまうだけの可能性が高くなります。
アミノ酸サプリの中には人毛から作られるものもあり、
ヒ素や水銀が混入している可能性も捨てきれないそうです。

そもそも、しっかりとした食事(肉卵チーズ)で健康的であれば、サプリのほとんどは必要ないものです。ほんとうに自分に必要な栄養素はなにかを把握してサプリを選んでいくことが大事です。

サプリメントについてもっと知りたい方はぜひ、
「サプリメントの正体 田村忠司著」を読んでみてください。

サプリメントの正体

加工食品はさらに大きな問題があります。薬品による原材料の洗浄、調理法によって
素材そのものがもつ栄養素は大きく削られます。そこを添加物で補うわけです。
きちんと食べたつもりでも、栄養のないものをとり、添加物を摂取していれば健康的とはいえませんね。

その他

この他にもたんぱく質には、

・旨味を感じる受容体となる
・薬を受け止める受容体となる。
・赤血球となる
・酵素となる


などとても重要な働きをします。

実は骨もコラーゲンでできています。骨というとカルシウムを思い浮かべますが、骨の骨格となる部分(建物でいえば、鉄筋の部分)はコラーゲンなのです。


これらについては機会があれば「その3編」でふれたいと思います。

次回は「核酸」についてです。

お楽しみに。

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