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ミトコンドリアを増やして代謝を上げる

ダイエットをするとき「代謝を上げることが大切」ということはよく耳にします。

そもそも代謝ってなんなんでしょう。

代謝は英語で「metabolism」メタボです。

うん?メタボ?

メタボといえばなんやら怪しげな病気のような印象を受けます。

メタボとは「metabolic syndrome」メタボリックシンドロームのこと。wikiによると「内臓脂肪型肥満に高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上を合併した状態をゆう」そうです。

日本語では代謝症候群というらしいです。

どうやら人間が健康的に生きていくためには、この代謝がきちんと活発に行われているのが大切なようです。

 

代謝とは

代謝により体内の栄養素をエネルギーに変えて「燃やす」ことで人間は生命を維持するだけでなく、筋肉を動かし運動したりすることができます。

代謝には、

  • 【生活活動代謝】 家事・仕事・運動による代謝で1日に消費されるエネルギーの2~3割程度
  • 【食事誘導性熱代謝】 食事することで体がポカポカとなる代謝 約1割程度
  • 【基礎代謝】 心臓や血液循環、体温維持など、生命維持に不可欠なエネルギー代謝 6~7割程度

があります。

基礎代謝が一日に使うエネルギーの大部分を占めるんですね。

「基礎代謝を上げよう」という言葉はダイエット特集などでよく目にします。

そしてどうやら、内臓脂肪が蓄積しすぎてしまうと、この代謝が落ち、様々な形で体に不調がでるようです。

 

代謝を上げるにはミトコンドリアを増やす

エネルギーと漠然にいいますが、人間などの生物のエネルギーとは、ずばり

「アデノシン三リン酸」です。「adenoosine triphosphate」、略してATPと呼ばれます。
体内のあちこちにこのATPがあり、「生命のエネルギー通貨」とも呼ばれています。

アデノシン三リン酸(ATP)
アデノシン三リン酸(ATP) *画像はwikipediaより借用

上記画像の左側にリン酸(P)が3個結合しています。ATPのTはTripleの略ですね。

この一番左端のリン酸が切り離れるとき、まさに爆発して、エネルギーになるそうです。

リン酸が一個切り離されるとATPは「ADP」になります。Dual(二重)の略ですね。

そしてADPのPがもうひとつ切り離されると、リン酸はのこり1個となって「AMP」になります、MはMono(単体)の略です。

信じられないのですが、私たちは普通に生活していても一日40kgのATPを消費するそうです。
爆発したATPはすぐにリン酸がくっつけられ、再利用されます。
体内のあちことでATPの消費と再合成が行われていることになります。

 

ATPはどうやって作られる?

ATPの材料になるのは、3大栄養素の糖質、脂質、たんぱく質です。体内に蓄えられた脂肪ももちろん有力な材料候補です。
そして必要なのは酸素です。上記の化学式でもわかるようにリン酸の周りに酸素がくっついています。

そして今回のテーマ「ミトコンドリア」こそがこのATPを生産するエネルギー工場なのです。

※「ミトコンドリア」ときいて、思い浮かべたそれはたぶん「ゾウリムシ」です(笑)
ミトコンドリアはこんな形です(といってもいろんな形になるみたいです)。

ミトコンドリア
ミトコンドリア *画像はwikiより借用。

細胞の中にいるミトコンドリアは、たとえばグルコース(ぶどう糖)を取り入れ、水と二酸化炭素を作るときにATPを作ります。
酸素を吸って、二酸化炭素が排出されるのはこのためですね。
ダイエットを始めて2~3日で「体重が減った!すごい!」と言っている方には残念ですが「水」作られ体外に出ただけです。
そしてATPを利用することで人間は生命を維持することができます。

このミトコンドリア内でATPが作られることは「TCA回路」や「クエン酸回路」と呼ばれます。

グルコースだけでなく体内の脂肪を分解して代謝を上げてくれるのもミトコンドリアです。アミノ酸や脂肪酸の分解物や乳酸などもミトコンドリア内のTCA回路でATPとなります。
ビタミンやミネラルはこのTCA回路がうまく機能するのに必要です。

TCA回路では1個のグルコースから38個のATPを作るそうです。

その工場が増え、エネルギーが活発に生産されるためにはミトコンドリア自体が増えることが大切です。

 

ミトコンドリアをどうやって増やすのか

運動などによってエネルギーの必要性が高まれば、もっとミトコンドリアを増やしてエネルギーを作ろうということになります。
ただし、やみくもに激しい運動をしても、ミトコンドリアは増えないようです。

じつはATPは「解糖系」というプロセスでも作られます。

嫌気性代謝

体内に摂取されたグルコース(ぶどう糖)は「酸素がない状態」では解糖系というプロセスの途中でATPを作り出し、すぐに活用します。
解糖系でエネルギーが作られることを、酸素を嫌うことから「嫌気的代謝」と呼びます。

嫌気的代謝では酵素の働きによって、酸素がなくてもグルコースからATPを作ります。そのスピードは早いです。

ただし解糖系では1個のグルコースから2個のATPしかできません

「無酸素状態で、早くエネルギーを作れるが、量が少ない」のです。

強度の筋トレや全力ダッシュなどの無酸素運動が長く続けられないのもこのためです。
しかも乳酸(酸素がない状態でのピルビン酸)も作り出します。

言い換えると「呼吸がぜいぜいなるような運動は脂肪を直接的には燃やさない」ということにもなります。
もちろんグルコースが枯渇し、糖新生によって脂肪がグルコースに変われば話は別ですが。

好気性代謝

無酸素運動でATPが活用されると、ADPになり、さらにそれがAMPになります。
ATPがAMPまでになるのは無酸素運動のときだけです。

AMPが増えるということはエネルギーが不足しているとう信号です。
このAMPが体内で増えるとき、そのときがミトコンドリアの出番なのです。TCA回路が活動しはじめます。
ミトコンドリアはエネルギーを作り出そうと脂肪と酸素を取り込むようになります。
だから無酸素運動の最中は「ぜいぜい」と呼吸が荒くなり、酸素を必死に取り込もうとするのですね。
酸素が大好きな代謝なので「好気性代謝」とも呼ばれます。

好気性代謝ではグルコースももちろん材料となりますが、脂肪を利用するほうが効率よくエネルギーとなります。

「有酸素状態では、体内にある脂肪を活用し、効率よく多くのエネルギーを作れる」のです。

 

ミトコンドリアを増やす

人間がゆっくり生活をしているとATPがADPになった時点ですぐにリン酸化がおきATPになります。
無酸素運動がATPがAMPになるまでエネルギーを使います。

そして体内にAMPが増えると、ミトコンドリア内で脂肪を燃やしATPを作るように促します。
ただし、ミトコンドリア内でATPを作るためには酸素が必要です。

筋トレや腹筋、スクワットなど強度の高い運動をやるとAMPが増え、休憩して酸素が入ってくるとミトコンドリアが脂肪をエネルギーに変える。
短い無酸素運動とゆっくりな有酸素運動の繰り返しで、ミトコンドリアが活発に動きます。
そしてそれは、ミトコンドリア自体を増やそうということにつながります。
ミトコンドリアが増えれば、基礎代謝があがります。

 

ミトコンドリアと糖質制限

糖質制限をしているひとは体外から摂取するグルコースが少ないです。
そのため、糖新生というプロセスで体の脂肪を分解し、グルコースを作ります。大部分のグルコースは糖新生で作られます。
またTCAサイクルでミトコンドリアが脂肪をせっせとエネルギーを使うことで、激しい運動をしなくても痩せていきます。 そこに筋トレなどの無酸素運動とゆっくりな深呼吸で休憩、これを繰り返せば、ミトコンドリアも脂肪をどんどん使います。

「糖新生」と「ミトコンドリア」でがんがん代謝があがるので、おいしく食べながらダイエットできるのですね。

 

追記:ATPがふんだんにある場合はどうなるのか

現代人のワークスタイルと食生活ではATPが不足するということにはなかなかなりません。
炭水化物中心の生活であれば、ATPの原料であるグルコースは過剰になります。

過剰になったグルコースは肝臓でグリコーゲンになり、貯蔵されますが、量もごくわずかです。

さらに余ったグルコースは脂肪酸に変えられ、脂肪細胞になります。
「内臓脂肪」や「皮下脂肪」としてどんどん蓄えられるのです。

増えすぎた内臓脂肪は、さまざまは悪い物質を分泌して、代謝を落としたり、生活習慣病をもたらします。