お肉の上手な保存法 その2

学長です。

お肉の上手な保存法 その1

の続きです。

小学生のころの理科の実験で

牛乳パックにいれた水を凍らせたことが記憶があります。

翌日になると牛乳パックがパンパンになって膨らんでました。中にはパックが破裂しているものもありました。

多くの液体は冷却されて固体になると、体積は小さくなります。

水はその分子構造のせいで、凍結すると体積が増えます。増加分の体積が紙パックを破るまでになるんですね。

冬場は水道管破裂なんてことも引き起こします。

水分の多いお肉の凍結にはこの水の「氷ると体積が増える」性質が悪さをしちゃうのです・・・

冷凍曲線(緩慢凍結と急速凍結)について

冷凍曲線とよばれるものがあります。

画像引用:一般社団法人日本冷凍食品協会

水がこおり始める0℃からー5~6℃くらい(最大氷結晶生成温度帯)までの状態がながければ長いほど、氷の結晶が大きくなり、また不揃いになります。

これを「緩慢凍結」といいます。

とくにご家庭の冷凍庫は開け閉めが多かったり、食品がパンパンにはいってるケースが多いですね。またこれから気温上昇してくると状況は悪化する一方です。

表示温度は低くても、実際は0℃よりを少し下回るくらいの温度が続きます。

購入してきた生肉をこのような状態で冷凍すると、緩慢凍結になってしまいます。そうなるとお肉の中の水分が大きな結晶となり他の組織を押しつぶし、傷つけてしまいます。お肉の断面に氷の粒粒がはっきりと見えてきます。

解凍したときにドリップが多かったり、お肉の食感が悪くなってしまいますね。ドリップが多いと、解凍時の菌の繁殖にもつながってしまいます。

脂肪分の霜降り肉はそこまで影響でないのですが、赤身のお肉や鶏肉などは水分が多いので影響が大きくなります。そもそも水分含有量の少ない食品はあまり影響はありません。

緩慢凍結には逆に食品の食感を柔らかくする効果もあります。とくにイカやタコなどは緩慢凍結して解凍すると、食感が柔らかくなります。ドリップはうまいこと料理にいれてしまえば、まあ、海鮮のうま味は活用できます(笑)

お肉には急速凍結がやっぱりいい

緩慢凍結の反対が「急速凍結」です。

10分から1時間程度で最大氷結晶生成温度帯を通過させることで、氷結晶の粒が小さくなり、他の組織を破壊しません。

解凍後にもドリップが少なくなり、食感も生肉のときと同じになります。

ただこの急速凍結、、、やはりコストと手間がかかります。なのでやはりお肉屋さんに初めから冷凍してもらうのがお得です♪

急速凍結にもいろいろあるのですが、当店では鶏肉や豚肉などのカット商品は、生肉をカットした後、重ならないようアルミの板に広げて凍結専用の大型冷凍庫(4畳分くらいあります)でマイナス25℃で凍結・保管します。

うす切り・切り落としなどは5分程度、若干厚みのあるものは20分、もっと厚い鶏モモ肉などのブロックは1時間程度でカチカチになります。

液体型の急速冷凍庫では、牛肉商品やブロックなどを凍結しています。

※冷凍の過程で、空気中の水分が霜となってお肉につく場合があります。こちらは解凍の過程で基本的には蒸発していきます。

そして発送直前に冷凍庫から取り出し梱包します。クロネコさんがくるまではまた別の冷凍庫(これまた4畳分)でマイナス20℃で保管しています。

一度凍結してしまえば、再解凍されて再度緩慢冷凍されない限り、ご家庭の冷凍庫で保管しても問題はほとんどありません。

あとはきちんと解凍して、料理に使えばOKですね。

上手な解凍については次回のメルマガで♪

お肉の上手な保存法 その1

学長です。

九州地方は梅雨入りをしました。
店頭のお客様も天気の様子をみて、晴れたら「BBQしよう!」みたいな感じです。
週末だけでも晴れてほしいのですが、晴れると急に忙しくなるので、なんとも見通しの立てづらいシーズンです。

梅雨時期になると、気になるのが食中毒ですね。まあ、年中行事のような感じになってしまってますが・・・
アニサキスの食中毒は連日報道されてますし、鶏肉の生食でのカンピロ食中毒も頻繁に起きてます。
幸い死亡事故はここ最近おきていませんが・・・食中毒にはなりたくないですよね・・・

国産も外国産もお肉の値段は高くなる一方。
スーパーなどで安いときにまとめて購入して、
小分けして冷凍ストックするという方も多いと思います。

ほんとうはこれ、やめたほうがいいのです。
お肉をなるべく長期保存しつつ食中毒を避ける、かつお肉のおいしさを維持するにはベストな方法では
ありません。

ではどうすればいいのでしょう?

その前に「冷蔵保存」について確認しておきたいと思います。。

冷蔵保存について

スーパーで買ってきた冷蔵のお肉をパックのまま家庭用冷蔵庫にいれたままにしておくと、いずれ変色したり、においがでてきます。
つまり腐りますよね。 2~3日、早ければ翌日には腐っていた、なんてこともあります。
ミンチなんかはとくに変色が早くなります。

多くの低温食品で腐敗のもととなる腐敗細菌は0度~25度(至適温度は15度~20度)で発育します。
冷蔵庫の温度が低いほど、腐るスピードは遅くなります。
ご家庭の冷蔵庫って開け閉めの多いですよね。
表示温度は5度くらいでも、平均は10℃以上の時間がほとんどでなのではないでしょうか。
これでは腐るスピードは速くなってしまいます。

でも「腐った」=「食中毒を起こす」とは簡単にはいえません。
まあお腹は下すかもしれませんが。

多くの食中毒菌の発育温度が15~45℃(至適温度は35~38℃)です。
なので冷蔵庫できちんと保存されている限りでは、
変色したから、においがでたから、
食べられないということではないのです(十分な加熱が前提です)。
でもなにぶん相手は目にみえないウイルスと細菌です。
あえて立ち向かいたくはないですよね。

今、ほとんどの冷蔵庫にチルド室がついてますね。
だいたい0℃です。
腐敗細菌もこの温度だと増えにくくはなります。
なので、「長期保存」と謳い文句にしているわけです。
でも腐敗細菌が死滅するわけではありません。
温度が上がってくれば、それなりの反応が起きてしまいます。

このチルド室、とてもいいのですが、普通「小さい」ですよね。
開け閉めしない時間が長いと、お肉の表面が凍結してる場合があります。
こうなると温度上昇とともにお肉からのドリップが増える要因になります。
そして食感も損なわれてしまいます。
これを「緩慢冷凍」といいます。ご自宅の冷凍庫でお肉を冷凍すると緩慢冷凍になってしまいます。
もっとも避けたいお肉の冷凍保存状態です。

というところで、長くなりましたので、「冷凍」については次回に。