こんにちは! コロナウイルスが毎日TVを賑わせていますね。感染症にかかりやすい方にとっては他人事じゃないかもしれません。
ですが基本的には過度に反応せず、自分の体調を万全にすることが大切ですね。
今回のブログは前回の続きです。
お肉の味を決める要因(復習)
詳しくは前回のブログを読んでいただくとして、お肉の味を決める要因として、
1)飼料の種類
2)肥育期間の長さ
3)畜種・血統・生産者の人柄・風土
の3つを取り上げました。
そして、1)飼料の種類についてざっと見ていきました。
すこしおさらいですが、まずは下記画像をご覧ください。
3枚の画像の中のお肉は、それぞれ、左側がグラスフェッド( 牧草飼育)、右側がショートグレイン(放牧牧草後濃厚穀物飼育)です。
お肉の赤身の具合、ロース断面積の大きさがかなり違うと思います。 ステーキにカットしたものはどちらも320g程度。ショートグレイン(右)のほうがロース断面積が大きいため、厚さも薄くなります。
ショートグレインのほうには霜降りも入っています。わずかですが。ロース芯とマキの間の脂や体表側の脂肪(ロース芯とカブリの間)も多くなっています。脂が入ってきた分膨らんだ。そんな印象です。
一般的にはショートグレインのほうが、やわらかく、臭みがすくなく、ジューシーだと感じられると思います。
これがグラスフェッドが「かたい、くさい、おいしくない」とされてきた理由です(好きな人もいます)。
あくまでも平均的な話ですが、
グラスフェッドは 24~30ヶ月齢でお肉になります。離乳後は基本的に牧草と補助飼料となります。
ショートグレインフェッドは、18ヶ月齢まではグラスフェッドと同じように育てられます。18ヶ月齢を超えると、フィードロットと呼ばれる場所に集められ、穀物肥育をしていきます。
ショートグレインの場合は3か月~4ヶ月程度ですです。
トータルで22ヶ月齢ほどでお肉になります。
つまりショートグレインはグラスフェッドよりも短い月齢(割り引いて同月齢としても)でお肉の断面の大きさは2倍になった感じを受けます。
これが3~4か月と短いとはいえ、穀物肥育の威力です。穀物は太るんです(笑)
肥育期間の長さの影響
お肉の味を決める要因の2つめ
2)肥育期間の長さ
についてみていきたいと思います。
画像1で登場したグレインフェッド。
これはショートグレインですが、
・ショートグレイン
・ミドルグレイン
・ロンググレイン
と3種類あります。
ロングのほうがミドル、ショートよりも穀物肥育期間が長くなっていきます。
ロース芯の面積も比例して大きくなりますが、霜降りの度合いも多くなってきます。 ショートで日本の等級の1等級~2等級の間、ロングで3等級くらいなイメージでよいと思います。
やわらかさ、味ともにかなり違いがでてきます。
次に、ウルグアイやNZのショートグレインと日本やアメリカの穀物肥育牛の違いをみていきたいと思います。まずは下記画像をご覧ください。
画像2上半分の左側が国産交雑種3等級です。その右側がウルグアイ産のショートグレインです。画像下半分の左側がそれぞれをアップで撮影したものです。
お肉になった月齢はほぼ同じ24か月程度です。
国産のほうはより霜降りが入り、断面積も大きくなっています。
牛の種類の違いによる差もあるのですが、これには穀物肥育の期間の長さが大きく影響しています。和牛や交雑種は平均して10ヶ月齢から穀物肥育をうけていきます。写真の交雑種の場合は14ヶ月ほど穀物肥育をうけたことになります。 ウルグアイ産のほうは4か月程度です。
今回画像がないのですが(想像してください)、一般的に高級霜降り肉と呼ばれる4等級とか5等級をつくるためには交雑種よりもさらに2か月以上の穀物肥育をしていきます。 黒毛和牛は霜降りが入りやすいということもあるようですが、霜降りの度合いに決定的なのは穀物肥育期間の長さです。
ちなみに日本と同じトウモロコシ中心のアメリカ産ビーフは18ヶ月齢ほどでお肉になるそうです。これはなぜか・・・いずれ(笑)
今回まとめ
穀物肥育の長さは霜降りの度合いに大きく影響します。それがお肉の大きさにも影響してきます。
グラスフェッドをどんなに飼育期間をのばしても、さほど霜降りははいりません。長く飼育した分、お肉が硬くなっていきます。
黒毛和牛を牧草だけでどんなに長く育てても高級霜降り肉にはなりません。
さらに同じ穀物でも、トウモロコシなのか麦なのかで、霜降りの入り具合、味がかなり変わってきます。
次回は、肥育期間の長さのつづきです。牛肉ではなく、豚肉・鶏肉についてみていきたいと思います。