2017年12月9日の日本経済新聞についてきた「NIKKEIプラス1」に実に興味深い記事が載っていました。
お肉の知識をクイズ形式で楽しく知ってもらうのが趣旨のようです。
当たり障りのない問題ばかりだろうと思っていたら、これはいいのか(笑)という核心をつく設問がありました。
下記の画像の答え、みなさんわかりますか?
念のため文字起こししておくと、
「A5やB4など、牛肉の格付けを決める基準ではないのは?」
①きめの細かさ
②おいしさ
③霜降り状態
④精肉にできる割合
知っている方にとっては簡単ですが、答えを知るとびっくりされる方も多いと思います。
答えは、ずばり ②おいしさ なんですね。
格付けがよいからといっておいしいとは限らない。
「おいしさは格付けできない」といってもいいかもしれません。
少し解説しますと、A5という格付けは、ローマ字部分と数字部分から構成されています。
このローマ字の部分が「歩留まり等級」と呼ばれるものです。
歩留まりにはA等級~C等級まであります。
「一頭の枝肉から、お肉がどれだけ取れるか」という基準です。簡単にゆうと余計な脂身が多いか少ないかということです。
Aが一番余分な脂が少なく、良いとされています。
設問の答えでは、④精肉にできる割合 ということになります。
数字の部分は「肉質等級」と呼ばれています。
5~1等級まで5段階あります。
この肉質等級は、
・牛脂肪交雑基準(B.M.S)
・牛肉色基準(B.C.S)
・牛脂肪色基準(B.F.S)
・肉の締まりおよびきめの細かさ
をみて総合的に判断します。
設問の答えでは、
①きめの細かさ
③霜降り状態
が該当します。
日本のの格付け基準では「おいしさはまったくわからない」ということです。
「牛肉の格付け 編 」についてもう少し詳しく知りたい方は下記記事もご参考に。
https://butcher.jp/hpgen/HPB/entries/19.html
ですが、これは仕方ないことなのかもしれません。
なにをおいしいと感じるかは千差万別です。個人個人かなり違うものです。
赤身をおいしいと感じる人もいれば、脂身を好む人もいます。
ですが、一番気を付けてもらいたいのが、
「〇〇牛」だからおいしい
と思いこまないでほしいということです。
FBなんかの投稿でもよく見かけるのが、
「黒毛和牛はおいしいね」、「あか牛は健康的でおいしい」とか、さらには銘柄名まで持ち出している投稿です。
別にこれに突っ込みをいれようなんて思いません。
でも、牛のおいしさというのは、
1:何を食べたか 「穀物飼料」か「牧草飼料」か、その割合はどうなの? どんな穀物?どんな牧草?
2:どのくらいの期間育てたか
で大きく決まります。
今はやりの通年放牧(肉牛ではほぼ無理)かとか畜種や血統がどうだとかは2の次です。
赤身肉ひとつにとても、穀物飼料メインの赤身と牧草飼料メインの赤身ではまったく仕上がりが異なります。
穀物飼料でも、トウモロコシ中心なのか、小麦や米中心なのかで、味は大きく変わります。
牧草飼料も、枯れた稲わら(日本の農家の多くがこれを牧草と呼ぶ)、なのか、青々としたマメ科・イネ科飼料なのかで
代わります。
そして育てる期間によって、大きく影響されます。
あなたがおいしいと思うお肉に出会ったら、「飼料は何がメインか」、「肥育期間はどれくらいだったのか」くらいは押さえておくとよいかもしれません。