お肉の上手な解凍法

お肉の冷凍保存をするにあたって、注意しなければいけないのは、お肉が緩慢凍結か急速凍結されるかです。

このことは前回のブログに書いていますのでご参考いただければ。

お肉の上手な保存法 その2

緩慢凍結はお肉の中の水分が大きな氷塊となってしまい、肉を傷つけます。

画像引用:一般社団法人日本冷凍食品協会


急速凍結されていれば100%お肉の品質劣化がないかといわれるとそうではありません。

水は氷ると体積が増えるという化学的事実は、多かれ少なかれ食肉の品質劣化をもたらします。

コロナの影響もあり、飲食業界や食品業界では急速冷凍庫の導入が進んでいます。

いくら急速冷凍庫を利用しても、一度に大量の食品を冷凍しようとするとその性能は落ちてしまいます。マイナス10℃くらいで表面だけ急速凍結、あとは普通の冷凍庫で最終凍結なんてケースもよく聞きます。

まあ、完全な緩慢冷凍よりはましですが。

単価の安い豚肉や鶏肉などに急速冷凍庫を使用すると、コストが見合わない場合もあります。

そういった意味も含めて(笑) 「きちんと」急速冷凍された食肉は、生肉とそん色のない品質で保管できます。

せっかくお肉をきちんと冷凍していても、解凍に失敗すると残念なことになります。そこで、今回のブログのは「お肉の解凍」についてです。

お肉解凍の注意点

お肉の解凍について注意すべき点は、

1)ドリップをできる限り抑える。

2)解凍時間はできるだけゆっくりと。

3)微生物の繁殖を抑える。

4)余計な乾燥をさける。

ということです。

1)ドリップをできる限り抑える。

そもそも緩慢凍結されてしまったお肉を解凍すれば、ドリップの大量流失はさけられません。

水分のみならず、栄養素やうまみといった有用成分も流れだしてしまいます。

こうしたお肉をうまく使うには、超低温でゆっくりと加熱して調理し、うまみを捨てない(笑)くらいなものです。

冷凍保存したお肉をドリップを抑えて解凍するには、そもそも急速冷凍されたお肉を利用することが

大前提となります。

次項で詳しく説明しますが、解凍時の温度が低いほど(時間がゆっくりなほど)ドリップは少なくなります。

2)解凍時間はできるだけゆっくりと。

凍結の場合と同じように、解凍についても「緩慢解凍」と「急速解凍」があります。一般的には緩慢解凍のほうが、肉質への影響は少ないといわれています。

緩慢解凍はドリップ量が少ないといったメリットがありますが、時間がかかるというデメリットがあります。

逆に急速解凍はドリップが若干多くなりますが、解凍時間が短いというメリットがあります。

ご家庭でお肉を使う場合には、緊急を要する場合もあるので、うまく使い分けるといいですね。

この解凍時間は「解凍媒体」になにを選ぶかでも変わってきます。

解凍媒体とは解凍するときにお肉に接触しているものがなにかということです。

解凍媒体には、

・空気(自然解凍)

・水(流水解凍)

・金属(解凍プレート)

などがあります。

夏場の空気中での自然解凍は、気温も高く、解凍速度は速くなります。

流水解凍でも、冷たい水を使うのか、肉が変色しない程度のぬるま湯を使うのかで変わります。

ネットでも簡単に購入できる金属性の解凍プレートも解凍スピードを上げるのには便利です。

うまく解凍するには、解凍媒体の温度と肉の温度があまり大きく離れないことも大切です。

3)微生物の繁殖を抑える。

解凍したお肉からドリップが多かったり、

解凍時の解凍媒体の温度が高かったり(例えば夏場の室温)、

解凍に時間がかかると、

微生物が繁殖してしまうリスクが高くなります。

かといって、ご家庭で解凍後に十分な加熱調理をするにあたっては、あまり気にする必要なありません。

お肉をカットしたまな板や包丁で、そのまま野菜を切ったりしなければ十分です。

4)余計な乾燥をさける。

あまり気にする必要はないのですが、お肉が直接空気にふれている場合、

お肉の表面が酸化したり、乾燥したりします。

ご家庭で解凍する分にはまず問題ないのですが、お肉はラップや真空・脱気パックなどに

つつんで解凍してあげるとこうしたリスクは避けられます。

余談ですが、お肉の破片やミンチの屑を、室温中で放置するとどうなると思いますか?

腐敗する?

いいえ、実はほとんどのケースでお肉は乾燥してカピカピになります。

つまりビーフジャーキーな感じになります。

こうなると腐りません。

最近ではドライエイジングビーフが人気ですが、ドライエイジング中の湿度はなんと70%です。

その他にも冷蔵庫内の温度や送風といった管理もありますが、

お肉のブロックはカピカピに乾いていきます。表面は黒焦げたようになり、カチカチです。

その中ではお肉の熟成がすすんでますが。

乾燥すると微生物が繁殖しにくくなりますが、食感が悪くなるというトレードオフがあります。

まとめ

以上の4点すべてを満たした完全な解凍方法は残念ながらありません。

3)と4)については、ご家庭での調理前提ではさほど気にする必要がありません。肉屋さんが、冷凍であれ冷蔵であれ、お肉を販売するときには十分注意する必要があります。

大切なのは1)と2)

解凍媒体の温度をなるべく低くすると、解凍時間は長くなるというトレードオフがでてきます。

温度が低ければ、解凍には時間がかかるからです。

その変わり、ドリップが抑えらえるというメリットがでてきます。

解凍媒体のチョイスで、こうしたトレードオフの改善がはかれます。

・空気(自然解凍)

・水(流水解凍)

・金属(解凍プレート)

どれを使うかで、解凍時間は短くなります。

手間がかかったり、衛生面に注意が必要などのデメリットがでてきます。

ご家庭でのベストな解凍方法

ベストな解凍方法は、お肉のカットや食材の準備にかけられる時間によって変わります。

ブロック肉や厚めのステーキ肉の場合

冷蔵庫内での自然解凍が一番です。ブロックや厚めのステーキだけでなく、鶏モモ肉やムネ肉などもこの方法が一番です。

短くても半日、長くて1日以上かかる場合がので、事前に準備が必要となります。またこの場合の解凍媒体は空気となります。お肉に空気が直接ふれないようラップやビニルで包んでおくとよいです。

もしかけられる時間がない!あっても2時間くらい!

という場合には、流水解凍がおススメです。

流水解凍の場合も、お肉はビニルや真空袋で脱気パックし、解凍媒体である水ができる限りお肉に接していると解凍時間が短くなります。

流水は冷たければ冷たいほど、解凍には時間がかかりますが、ドリップは少なくなります。

薄めステーキであれば、解凍プレートに乗せて解凍してもよいかもしれません。解凍は若干早くなりますが、少しドリップも多くなる印象があります。ときおり裏返したりしないと、解凍にムラがでます。

電子レンジの解凍機能を利用する手もありますが、機能的にはまだまだの印象です。解凍ムラができたり、焼け(煮え?)る部分ができたりします。短時間ずつ解凍し、裏替えして、また短時間の解凍といったわずらわしさがあります。

もっと解凍時間を短縮したい!という場合には裏技があります・・・

それは「冷凍のまま極弱火で調理する」というものです。

解凍時間は短いのですが、調理にものすごく時間がかかります(笑)

トンカツやチキンカツなどの冷凍フライ生地になっているものは、冷凍のまま揚げたほうが、解凍とともに肉たん白質の熱凝固が起こり、内部からのドリップ流出を防ぐので、解凍による肉質の劣化は起こりにくくなります。

お肉屋さんにあるような大きなブロック肉では、高周波による急速解凍という手段もあります。

ですが、これはご家庭では現実的ではないですよね。

うす切り肉、切り落とし肉の場合

お肉がうす切りや切り落とし、こま切れなどで、うすくトレイやビニル内に盛り付けられている場合には、解凍にも時間がかかりません。

解凍プレートにのせて、とき折り裏返せば、短時間で簡単に解凍できます。常温での短時間の自然解凍でも十分をです。

お肉が団子状になっているときは要注意です。「ブロック肉」と同じ方法で解凍するのがおススメです。

ごくまれにですが、カチカチに冷凍された切り落とし肉を、そのままアツアツのフライパンで調理し始める方がいます。この場合、調理後の肉の食感がごわごわになる場合が多いです。 野菜の上で蒸し焼き状態にする。ごく弱火で解凍しながら焼くとこうした事態は改善されます。でもやはりきちんと解凍してから調理してくださいね。

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