糖質制限とグラスフェッドビーフ

 

牧草牛

九州食肉学問所のネットショップが始まったのがいまから10年前です。

その当初よりニュージーランド産(以下、NZ産)ビーフとラムの取扱をしていました。

当店の経験からみてオーストラリア産よりも品質がよいためです。

 

糖質制限をしていると「グラスフェッド」つまり「牧草牛」が体にいいんだ!という話をよく耳にします。
脂肪酸のω-3が多くていいんだとか、赤身が多くてヘルシーだというのがその理由のようです。

 

ただグラスフェッドにもいろいろありますし、脂肪はおそらく脂肪酸の組成の違いからか、非常に食べにくいです。 いわゆる「草臭い」と日本人が嫌ってきたお肉でもあります。

 

グラスフェッドってなに?

グラスフェッドとは「牧草を飼料して与えた」という意味です。裏を返すと「穀物はいっさい与えていない」ということです。そして基本的には放牧飼育となります。
厳密にいえば「牧草を飼料として与えた」ということと「放牧して育てた」というのは分けて考える必要があります。(まあほとんど同じ意味なのですが)。

熊本の赤牛が放牧牛だ!ということをよく耳にしますが、赤牛も肉牛として出荷するものは穀物肥育をかけます。イメージ的なものや牛のストレスを軽減させる目的で「放牧させてる」パターンが多いのではないかと思います。穀物肥育のためある程度霜降りも入ります。もちろん農家によっては牧草のみで育てる場合もあるかと思いますが、日本の市場で評価されないため、流通量はほとんどないと考えられます。(※このあたり詳しい方がいたら教えてください。 )

日本の肉牛のほとんどは黒毛和牛で赤牛と呼ばれる褐毛和種や、東北の短角和種は極めて少ないのが現状です。

 

日本の生産者は基本的に濃厚飼料(穀物)で霜降りをいれ大きく育て、高く売るというの肉牛生産を基本的におこなっています。

NZ国内で流通しているものはほとんどがグラスフェッドでかつ放牧牛だそうです。

畜種は肉用種のアンガス種かヘレフォード種、アンガス交雑種になります。

乳牛で牛乳を生産しないオス牛も肉用としてグラスフェッドで育てられ出荷されます。
ホルスタイン種、ジャーシー種などです。肉用ですが肉用種と区別するため、乳用種と呼ばれます。

肉用種に比べ乳用種は単価的は相対的に安くなります。乳用種は肉質も比較的水分が多く、固いです。香りも肉用種のものより強くなる傾向があるように感じます。
グラスフェッドで安いものはおそらくこの乳用種のものと推測されます。
さらに廃牛(乳の生産を終えた牛)も主にミンチ用として流通します。
脂身は黄色くなります。

どこまで肥育をかけるかで乳用種も肉質はよくなりますし、肉用種も育て方が悪ければ肉質はよくなりません。そのため、肉用種と乳用種の境目は曖昧な感じです。というか気にしていない感じもします。

 

パスチャーフェッドってなに?

日本向けの規格だと思われるのですが、グラスフェッドの一部に「パスチャーフェッド」というものがあります。

NZのひとに「パスチャーフェッド」といっても「はあ?」と言われると思います。

「マメ科で栄養価の高い牧草を与えて飼育した」というのが謳い文句です。

現状としては、グラスフェッドの中でも肉用種でかつ肉質がよく仕上がったものを「パスチャーフェッド」というくくりで日本へ輸出している感じもうけます。

実際に「パスチャーフェッド」の規格で当店に入荷するNZ産ビーフは肉質も良いです。モモ肉でも柔らかいです。
ニュージーランドでも日本向け規格の牛肉の余剰品が入荷すると、「あ、日本向けのやつや」とわかるようです。※スペックの違いもあります。

もちろんですけども、成長ホルモン剤や抗生物質を使っていない牛肉は値段も高くなります。これは後述するグレインフェッドでも同じです。

 

グレインフェッドってなに?

オーストラリア産やNZ産では基本的に牛は牧草で育てます。そして出荷前の僅かな期間に穀物を与えて飼育したものを「グレインフェッド」と読んでいます。穀物を与える期間で規格が変わります。脂身に味がのり、脂肪交雑もほどよく入ってきます。

  • ショートグレイン 100日程度
  • ミドルグレイン 150日程度
  • ロンググレイン 200日程度

また穀物を与えた日数で厳密に分けているのではなく【おそらくですが】屠畜した牛の肉質をみて「こいつはショートやな、これはミドルやな」みたいに分けてるのケースもありそうです(想像です)。

NZ産では南島の気候が厳しい地域では、仕上げに穀物肥育するグレインフェッドが多くなります。

 

アメリカ産とNZ産の違い

アメリカ産牛肉(とくに日本向け)は基本的に穀物肥育になります。粗飼料は与えるようですが「牧草牛」というくくりには入らないと思います。

プライムが上質で、その後はチョイス、セレクトなどが続きます。

日本と飼料が似ているため、日本人の口にあうといわれているのがアメリカ産牛肉です。

この違いがあるため、オーストラリア産やNZ産のグレインフェッドは霜降りが一部入るもののやはり「臭い、固い」と言われてしまいます。
一昔前はロンググレインもよく見ましたが、アメリカ産の輸入解禁とともに、見かけることがなくなりました。
(まだ日本にも流通はしてるのではないかと思いますが)

味だけを語ると、オーストラリア産やニュージーランド産はアメリカ産には遠く及ばないと思います。

 

最後に

以上書いてきたことは「大枠」です。現地の肉屋さん、シッパー(輸出業者)、また私の経験からの話です。
個別の生産者を見ればいろんな例外はあると思います。参考までにしておいてください。
なにか重要な勘違いをしていれば、教えてください(笑)

要するに同じグラスフェッドでも安いのは、安ものということです。

 

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「糖質制限とグラスフェッドビーフ」への2件のフィードバック

    1. *ku*ma*さま
      コメントありがとうございます。
      学長です。
      ブログ紹介ぜひお願いします。
      また牧草牛については、
      http://butcher.jp/hpgen/HPB/entries/23.html
      にもいろいろとまとめています。
      ご参考まで。

      ちなみにメールアドレスでデータベースを確認しましたら、以前ご購入いただいたことがあるようです。
      ありがとうございました。

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